こんにちは、先生のための働き方コーチ・平田洋典です。
前回、一人の「暴走」が個人、組織を破壊する内容を紹介しました。
その際に、時間割作成を例に出しました。
今回も時間割作成を例にします。そして、前回とは逆に、「一人が組織を回す」ことについて述べていきたいと思います。
目次
組織を回す見えない力
年次有給休暇、休日勤務の振替等、教員には権利があります。その権利を行使できるのは、「権利だから」という理由だけではありません。見えないところで、取得しやすいように細やかな配慮をしてくださっている方がいるのです。
今回は、休暇等が消化されにくい一因と、その解消のために見えないところで尽力してくださっている先生を御紹介します。その上で、提案をします。
責任感から逃れられない状況
自分の授業が入っているから、生徒が問題を起こして指導しないといけないからという責任感のもと、休日出勤や宿泊行事の振替をとらない方は多くいらっしゃいます。
また、他の先生に迷惑がかかるから、といった理由で取得に遠慮がちな方もいらっしゃいます。
この選択が良いかどうかの議論をするつもりはありません。中には、「そんなの勝手なエゴだろ。あなたがいなくても組織は回る」などと言う同僚もいますね。
しかし、そのようなことを言う同僚が、補教・代教(「担当教員が不在の場合に、代わりに自習監督等に入ること」※地域、学校により様々な呼び方がある)に快く入ってくれるか・・・
と考えると、どうでしょうか。
一点言えるのは、その組織の中で、「圧力」がかかり、取得しづらい現状がある場合もあるということです。
「残業をなくせ」という裏では、休日に働いた同僚の振替取得に圧力をかけている状況が多々あります。
このような状況まで理解しないまま進む「改革」とは?・・・と思ってしまいます。
圧力を感じる状況では、「授業に穴を空けることは責任を果たさないことになるのでは?」と悩む先生は多くいらっしゃいますね。また、休暇を取得したとしても、自分は悪いことをしたのではないかという「罪悪感」や、何か文句を言われるのではないかという「不安」に押しつぶされそうになる方もいます。
皮相的な「改革」ではなく、芯を見てほしいと思います。
全員の権利のために動く
私が現職時代、ある先生は、時間割作成責任者として、ある取り組みをしてくださっていました。
それは、週に1日以上、「午前か午後に授業がない日を入れる」ということでした。
そうすれば、最低半日は休暇を取りやすくなります。
この作業は、想像を絶するほど難しいものです。
非常勤講師の絡み、特殊事情の先生の絡み、「暴走者」の絡み等で、精神的に追い詰められる中での作業が数十日続くのです。
前者2つは問題ではありません。最優先事項です。ただ、3つ目の「暴走」がある中で、全教員の半日を空けるのは至難の業です。
この離れ業をやってくださった同僚がいるのです。
A先生としておきましょう。
A先生は、当然、そのようなことは口にしません。よって、誰も気付きません。
私も気付きませんでした。
管理職に言われて、初めて知りました。
私は休日の部活動指導の振替が溜まってはいましたが、フルにとることなど不可能だと思い込み、午後が授業なしでも、中々帰りませんでした。
それを見かねた管理職が、「A先生の気持ちを考えたら、帰りたくなるんじゃない?」と言ってきて、事情をこっそりと教えてくれました。
A先生は、教師の長時間労働を少しでも緩和して、疲労回復できる職場環境を作るために骨を折ってくださっていたのです。
その思いに触れ、私は感動しました。
一人の思いが組織を回す、と。
本来的には行政、管理職の力で
本来は、このようなことは一人のマンパワーに頼るべきではないと考えます。A先生自身が心身ともに削っていらっしゃったからです。
行政や管理職が、音頭を取り、「担当授業があっても、課題等を作成した上で、積極的に休暇を取得してください」、「『お互い様』の精神で、補教・代教には快く応じてください」と年度当初に伝えれば良いのです。
しかし、なかなかない。結局は、一教員の工夫に委ねられてしまう。授業等での工夫は喜んでしますが・・・。
ひどい場合は、管理職がA先生の創意工夫・尽力のようなものを知らないケースすらあります。これは終了です。
気持ちよく仕事をするためにも、行政・管理職の宣言があった上で「お互い様」の精神が浸透していくことが理想だと、私は考えます。
全国の「A先生」へ
至るところに、「A先生」がいらっしゃいます。
体育祭練習期間、毎朝、ラインを人知れず引いている先生。
文化祭に向けて、少ない予算をカバーするために、物品を自力で集めてくる先生。
校内環境をよくするために、毎朝、窓を開けて回る先生
・・・・
中には、「呼びかければいいのでは?」
という声もあるでしょう。
しかし、多くの場合、「呼びかけても反応がない」、「迷惑がられた」などの経過を受けて、「A先生」になっているのです。
自身の行為が少しでも児童生徒のためになり、組織のためになると信じ、実際、組織を回している全国の「A先生」!
周囲の傍観者の目を意識して声を掛けられない同僚もいます。そのような、サイレント応援団います!
私も「A先生」を応援します。
職場で「誰を見本として良いか分からない」と悩む若手の先生へ
「私、職場の同僚が苦手で、誰を見本にして高めていけば良いか分かりません」という相談があります。
その際には、私は「A先生」の例をもとに、「人の見えないところで、人のために動く同僚を探してみてください」と助言します。
すると、必ず、「どうすれば探せますか?」という質問がきます。
それに対する回答は・・・
「人がいないところや、人がいない時間帯に仕事をしている同僚に、『今、何しているんですか?』と聞いてみると良いです」となります。
まとめ
一人が組織を回す、というのはすごいことですが、別の見方をすれば組織が有機的に機能していないということでもあります。
見えないところで組織のために動く同僚の存在に気付き、協力する存在、課題を提言する存在となる先生方が増えていくと、組織は有機的に回り始めると思います。