こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。

学校の長時間労働が問題になって久しいですが、その大きな要因について正しく言及されていない論点があると、私は考えています。

それが、「無関心」という論点です。

教師は物理的な時間の長さだけで精神的に病むことは、あまりありません。

しかし、孤立感に苛まれた時間が続くと、それが短い時間の積み重ねであっても、精神的に病んでしまう確率が上がります。

また、長時間労働そのものも、「無関心」が一因であるとも言えるのです。

今回は、無関心の現状と問題点を整理し、その解決方法について述べていきます。

全員で見る意識の欠如が無関心を生む

全児童生徒を全教職員で見ていく、指導する」という意識が必要です。それが、一教師の孤立を防ぎます。

言い換えれば、「自分の担任学級しか指導しない」、「自分の担当分掌以外を職務と考えない」ことがまかり通る組織は、孤立する教師を生みやすいのです。

担任に責任を丸投げ

「〇組の担任は、△△先生だから、私には関係ない」。

こういった発言が繰り返される職場・・・ありますよね。

そして、何と言っても以下の発言を耳にしたり目にしたことのある方は多いのではないでしょうか。

それは、

「先生のクラスの○○(氏名)ですが、授業中寝てばかりです。しっかり指導してください!」というものです。

自分の授業を振り返ることなく、全てを生徒の責任にしていますね。また、その生徒への指導を担任に押し付けている・・・。

せめて、「こんなことがあり、私はこうアプローチしたのですが、他に何か良い方法はありますか」と意見を求める姿勢を見せてほしいですね。

担任は生徒の情報の「窓口」ですから、気になる情報を上げてもらうのは助かるのです。

ただその内容が・・・。

このような「苦情」が複数の教員から担任に集中したらどうなるでしょうか?

授業に乗らない生徒が複数いたとして、その一人一人に対して複数の教員から、担任が責められたら・・・。

責任感が強い先生であれば、かなり追い詰められていきます。

分掌に丸投げ

生徒指導部(生活指導部)という分掌があります。

生徒指導上の問題を集約し、指導の音頭をとることが多いですね。

例えば、校内で生徒の喫煙が問題になっていたとします。

そして、なかなか、生徒への指導がうまくいかない。

それでも生活指導部は管理職との連携をとって、指導に尽力している。

少しずつ指導の系統性も出てきた。しかし、目に見えた結果が出ない。

そんな時、生活指導部以外の教員は、「生活指導部がちゃんとしないからだよ。やり方が悪いんだよ」という陰口をたたく・・・。

そして、生活指導部のみが毎日終電まで残り協議し、他の教員は知らん顔。

いや、いや、いや・・・。

陰口をたたくのであれば、案を出せばよいわけですよね。

あくまでも、生活指導部はとりまとめ役。

全教職員で、生徒の問題行動を正していくために行動すれば良いではありませんか。

そして、さらに最悪なのは、分掌内でも「役割」が固定化されているケース。

この生徒指導部の例では、「非行に関すること」、「標準服に関すること」、「防災に関すること」等のように分かれ、それぞれの担当教員にそれぞれの対応が区切られていると・・・

この喫煙の問題などでは、「非行に関すること」の担当教員は心身ともに潰れてしまうおそれがあります。

一人では解決できないことを、全員で向き合うべきことを、一人で長期間対処するわけですから、ものすごい負担となります。

連日連夜帰宅は深夜。長時間労働と睡眠不足。そして、ついに、心も体も悲鳴を上げる・・・

このようなケースが後を絶ちません。

校務分掌は窓口に過ぎない

これらの無関心問題を解決するために必要なことは、一人一人が、学級担任を含め校務分掌は「窓口」に過ぎないという認識をもつことだと考えます。

連絡の窓口はどの職種のどの部署でも必要です。

それと同じです。

そして、窓口であるからには、強い責任感をもつ。

しかし、強い責任感をもって職務にあたることと「全てを背負い込む」とは別の話です。

生徒が悩んでいた時に、最後まで見捨てないように全教職員が意識をもって関わる。

その中でも、担任は家庭と関係機関との連携も調整して、情報をまとめていく。何よりも当該生徒との接触を密にしていく。

そのようにしていくことで、その生徒は複数の教員や専門家からの意見に触れることができ、客観性をもつこともできます。

そして、最後に頼る場所が担任であることが明確であれば、悩みを素早く打ち明けることにもつながりやすくなります。

生徒指導部に関して言えば、学年、学級の意見を集約して指導の方向性を出してコーディネートするのが役目です。その上で、教師を指導に巻き込んでいく。

全員で見ていきましょうと音頭をとっていく。

周囲の教師たちは、「関係機関との調整は生徒指導部がしっかりしてくれている。だから、自分たちは生徒たちの聞き取りを手分けして、正確に引き出そう」と考える。

このような連携こそが、仕事の分散化、より良く言えば、全員で当事者意識をもって目の前の課題に取り組む姿勢につながっていくのです。

やりがい

児童生徒との関りが少々長くなっても、全員で当たれば徒労感はほとんどありません。しかも、全員で励まし合い、同じ土俵で向き合っていれば、充実感もあります。そして何よりも、連日連夜、虚しい長時間労働ということにはなりません。

教師は児童生徒と向き合ってこそ、自己の存在価値を感じるものではないでしょうか。

それが、やりがいとなるか負担となるかは、職場全員で一丸となっているかどうか、自分事として関わる集団になっているかどうかだと思います。

声を上げられない先生、また、他業種の方、お立場関わらず御相談ください。私も闘います!