皆さん、こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。
SNSの発達とともに、新型の「脅威」により苦しめられる先生方が増えています。
新型の脅威、しかも見えない脅威。
不気味ですし、神経がすり減ってしまいます。
今回は、保護者が見えない脅威となった例を挙げます。
目次
一つの言動をきっかけに脅威は発生する
一人の先生の言動が気に入らなかった保護者が、LINE等で保護者に流し、同意を求め、結束した時に起こること・・・。このような事案が、至る所で発生しています。
具体的には、「A先生はとんでもない先生だ。無視しよう」といったことです。
このような事態が生じる背景とその対策について述べていきます。
※事例は、実話をもとにしたフィクションです。
4月の最初の保護者会。そこには、冷たい保護者の視線が・・・
C中学校に勤務するA先生は、年度最初の保護者会で、これまで経験したことのない違和感を感じていた。
出席者は29名。在籍生徒が31名ということを考えると、かなり高い出席率だ。
違和感というのは、その出席者全員が自分を睨みつけていることだった。
最初は気のせいか、と思った、しかし、時間が経っても、その状況は変わらなかった。
自分が話をする時も、保護者が話をする時も、同じだった。
「自分は、何か保護者の気に障ることをしたか?言ったか?」
考えても、考えても答えは出なかった。
そして、会の最後、一人の保護者が発言した。
「先生の指導は、おかしいですよね?」と。
「どういうことですか」とA先生は聞き返した。
すると、「自分の胸にてを当てて考えてください」と返ってきた。
そして、会の終了を告げる前に、保護者達は嘲笑して帰っていった。
まだ、新年度が始まって10日。授業日数的には7日のみ。
生徒を叱る場面もなく、きつく指導する場面もない。
A先生の困惑は深まっていった。
日常の違和感
保護者会の翌日から、A先生は気付いたことがあった。
それは、生徒たちの視線もおかしいのだ。
冷めているというか、自分を窺っているというか。
この点にも違和感を抱いた。
思い起こしてみれば、始業式の日から、何かがおかしかった。
反発はしないが、睨みつけるというか、話を聴いていないというか・・・。
昨年度担任した生徒が10人いて、関係は良好なはずなのに、彼らも始業式の日から様子がおかしかった。
一体、何が起きているのか、A先生は不安に苛まれるようになった。見えない敵と対峙する不気味さ。
夜も眠れなくなってしまった。
明らかになった原因
5月になって、保護者会に欠席した保護者から電話があった。
その保護者は、A先生のことが心配で電話をしてきたのだ。
保護者の口から出たのは、クラスの保護者の「A先生潰し」のきっかけと方法についてだった。
きっかけは、昨年度のA先生の、ある生徒に対する指導がきっかけだった。
けんかをした生徒Bに対して、A先生が「理由は何であれ手を出すことはよくない」と指導したことが、Bにとっては腑に落ちなかったのだ。
Bにしてみれば、「からかってきた相手が悪い」という思いが払拭できずに、帰宅後、母親に不満をぶつけたのだ。
この件に腹を立てたBの保護者は、新年度の担任が発表になるや否や、保護者のグループLINEを作り、「A先生はとんでもない指導をするから、皆さん気を付けましょう」となったわけである。
良識を保った保護者に救われる
今回のケースは、保護者会を欠席した保護者が教えてくれたわけですが、その方は、そのようなLINEでのやり方と内容に違和感を感じて、最初の保護者会も欠席したそうです。
一方的に、様々な手を使って教師を追い込む保護者もいれば、良識的な判断をして、客観的にものごとを見る保護者もいます。
よって、まず留意すべきことは、「モンスターペアレンツ」などという言葉で、保護者をひとくくりにしないことです。
そのようにしてしまうと、お互いにもう進歩がありません。
教師と保護者の関係でなくとも、一般の起業での会社同士でのやりとりであれ、社内の同僚同士であれ、近所同士であれ、同じようなことは起こり得ます。
よって、「一人の人間として困った行動」と受け取りましょう。
同調した保護者たちも残念ですが、やはり、担任の先生がどのような人か心配な面もあるのが年度当初。
一人の困った人間の催眠にかかってしまった、と大目に見ましょう。
チームで行きましょう!
ただ、大目に見て終わりではありません。
この場合、不適切な対応を受けたのはA先生。
言うべきことは適切な方法で言わなければなりません。
この際に動くのが学年主任、主幹、副校長でしょう。
保護者が来校した際に、「何かご不満なことはありますか?」と聞けば良いのです。
そうしてA先生の件が出てきたら、「それで、どうされたのですか?」と聞いて、LINEの件が出てくるとよいと思います。
出てこなかったとしても、こちらは「分かっていますよ」という姿勢を見せること。
そして、敵ではなく味方ですよという姿勢を見せるのです。
そもそも、A先生の喧嘩への指導については、客観的な落ち度はありません。
しかし、人は感情で動くもの。「気に入らない」と思う生徒も保護者もいるのが事実です。
そうであるならば、その気持ちを直接話してもらえるような雰囲気を作っていかねばなりません。
当事者ではなく、その様子を見ていた第三の教員がすぐに生徒にフォローをいれることも大事ですね。
そして、今回のA先生のようにこじれた場合は・・・
まず、原因が分からないうちは、周囲がA先生を励ますこと。
たまたまA先生が、そのような理不尽な保護者集団の学級担任になっただけです。
代表としてその学級を担任しているのです。
比較的ゆとりのある先生が支援すればよいのです。
そして、原因が分かった後は、前述したように立場のある教員が責任をもって保護者対応に当たっていくこと。
この流れが自然にできるようになるまでは、折を見て管理職や学年主任から意識付けをしていくことが大切でしょう。
教職員はチームです。
苦しんでいる先生がいたら、周囲がカバーする。その繰り返しです。自分事として考える。
そうして悲しみも共有するからこそ、喜びも共有できる。
素敵なことではありませんか。
とにかく、一人を孤立させないこと。
それが大切なのです。