こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。
運動会は、多くの子どもたちや保護者、地域住民が楽しみにしている学校行事です。学校側も子どもたちの成長の場として重要な位置付けをしています。

しかし、天候によって運動会が延期や中止の判断を行うこともあります。そういった場合、保護者は時に過度な苦情を教師に寄せます。天候という自然要因が絡んでいるのでどうしようもないことではありますが、保護者は瞬間的に感情的になることすらあります。それくらい、楽しみにしていたということでもあるのでしょうが・・・。

では、運動会の延期・中止がトラブルに発展しないために必要なことはどういったことなのでしょうか。教師の立場から適切な運動会の延期・中止の判断基準と心構えをどのように持てば良いか解説します。

運動会を中止・延期する判断基準がポイントとなる

雨天中止に納得しない保護者が一定数いるのは仕方のないことです。その保護者のクレーム内容を挙げます。一方で、雨天決行すれば良いかというと、そうでもありません。

決行した場合もトラブルに発展することすらあります。では、どのようにすれば良いのでしょうか。教師にできることは、判断基準を明確にして、事前準備をし、予想しうる事態への備えを万全に行うことです。以下に整理して述べていきます。

保護者からのクレーム

まず、運動会延期の場合に考えられる保護者からのクレーム内容です。保護者は子どもたちの非日常での活躍する姿を見たいものです。年に一度の運動会。それが見られないかもしれないとなると、つい感情的になってしまいます。頭では、「先生たちを責めても意味はない」と分かっていても、やり場のない気持ちを思わずぶつけてしまうのです。
①あのくらいの雨ならできた
小雨の時に、起きがちなクレームです。その時の気温などは度外視されていることもあります。
②子どもたちはやりたがっていた
最も多いと思われます。中止になって良かった、と思っている子どもたちがいることは度外視されています。

③他の学校は決行した
中止した学校もあることは度外視されています。

④延期したら平日実施になり、見に来ることができない
これは、心が痛みます。

⑤判断基準が良く分からない
これは、はっきりと示していないのであれば、学校側の落ち度と言われても仕方ありません。

雨天決行した場合のトラブル

次に雨天決行した場合のクレームやトラブルです。
①滑ってけが人が出る
これは重い問題です。ついつい熱がこもってしまう子どもたちは、いつもよりも大きな力を発揮します。力もスピードも。雨天でなくともリレーでの接触や騎馬戦での転倒につながり、口を切ったり骨折したりする怪我につながります。

ましてや、決行できるかどうかを迷うほどの雨天であれば、視界不良やグラウンドコンデション不良は容易に想像できます。そこで、子どもたの力とスピードがぶつかり合えば、怪我がより起きやすくなることは想像できます。もし、万が一頭から落下する事故が起きたならば取り返しがつきません。

②風邪をひく生徒が出る
これも重い問題です。学習にも影響が出ます。風邪から肺炎になり入院といったケースもあります。今、運動会は5月開催の学校も多くあります。

5月の初旬であれば、季節外れの寒さという日も無きにしも非ずです。そのような日に雨天決行すれば、風邪をひく恐れは増してしまいます。高等学校であれば高校総体が近く、この時期の風邪の重篤化は大きな問題です

雨天中止の判断

雨で運動会を中止する場合の理想的な判断基準はどのようなものでしょうか。
①降雨が激しい
今現在雨が降っており、グラウンドは水浸しで、土の部分がほとんど見えない。見て、「走れないな」と誰もが判断できる状態です。

②天気予報で降水確率が高い
今は小雨であっても、数十分後からの降水確率が高く、雨雲も見て確認できる状態です。現在は「アメッシュ」などかなり精度の高い雨雲予想を確認することができます。これらのデータで2時間以上降り続くのであれば、中止の方が賢明だと思われます。

③雷が激しい
雷は人命に関わります。遠くに雷鳴が鳴っても、数分後に落雷することもあります。雷が鳴っている場合は、絶対に中止しなければなりません。

運動会中止の連絡方法とタイミング

事前の準備が大切です。
①数日前に文書で、知らせておく
判断基準や、延期日を明記しておく。また、けが予防の観点などの理由を明記しておく。
※一例を以下に示します。

ⅰ)判断基準
・降水状況、降水確率、雷
・参考にするもの:〇時のNHKニュース、インターネット気象庁の天気予報、アメッシュ
・開始時刻から2時間後に激しい降雨があるかどうか

ⅱ)延期日
・年間指導計画に記した〇月〇日

ⅲ)その他
・児童(生徒)の安全第一で判断をする
・本番と延期日に来場できなかった保護者のために、〇〇(→学校行事名)の際に運動会のビデオ視聴会を実施する。

②当日はアナウンスとメール配信システム等で全家庭に知らせる
途中から観覧予定の保護者にも漏れなく伝わるように配慮します。
※万が一、8:30までにメールが届かなった場合は、学校に連絡するように事前の配布文書に記しておくと良いでしょう。

順延日の決定と案内

①年間行事予定と照らし合わせて、順延日はここしかない、ということを文書で示す
学校は、運動会以外にも行事等があり、仕方のない面もあるということを分かってもらうことが重要です。

②できる限り、休日に延期できるようにする
可能であれば連休日の初日に予定をして、順延でも翌日や翌々日の休日に開催できるような日程を抑えます。

運動会の延期に備える教師の心構え

①どうしようもないことで自分を責めない
小雨の中決行したら、翌日から風邪で休む生徒が頻発したケース。翌日から、保護者からのクレームが殺到してしまった。その際に、責任者の先生が真面目であれば「自分の判断が間違っていた。自分のせいだ」と責めてしまいがちです。

ある意味で責任感が強く、素晴らしい先生です。真面目であることも素晴らしい。しかし、風邪をひかなかった生徒が大多数いるということ、小雨程度で中止や延期にしたら「今日は休日だから見に来ることができたのに。今日やらないのはおかしい」などというクレームがくる可能性が高いこと、たまたま責任者になっただけで他の教師が担当しても同じことが起きたこと、などを考えてみると・・・。はい、自分を責めるというのは、少し違うような気がしてきますね。

②準備をしっかりとしておくことが教師の責任
天気予報に関わらず、事前にタオルや着替えを多く準備させておくことや、シャワー室を開放することなどが考えられます。また、早めに文書を出して学校側のスタンスを明確に伝えてくことが大事です。

③過去に起きたことは変えられない
過去に起きたことをあれこれ考えても解決しません。よって、「自分の責任だ」などと責め始めたら、終わりがないんですね。これは恐ろしいことです。自分を責めるということは、内言で良くない言葉を自分に浴びせ続けることです。次第に潜在意識に「自分はダメな人間だ」と刷り込まれて、ひどい場合はうつになってしまいます。

自分は自分の最大の味方です。自分を責めるのではなく、周囲に責められた時にも自分は自分を労り優しくしてあげましょう。

④まとめ
行事一つとっても、「うつ」状態になる危険性が潜んでいます。起きた出来事に対する正しい認識をして、健康な教師生活を歩んでください。

学校行事は、児童生徒の成長に欠かせないものです。学校行事運営を危機管理の面から見直してみませんか?

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