こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。

保護者対応に関する相談が増えてきています。その中で複数あったのが、「4月の初対面時からずっと私に攻撃的な保護者がいます。それまでに関りがなく、最初から攻撃的なので参ります。これまで我慢してきましたが・・・」
というものです。

確かに、最初から攻撃されると参ってしまいますね。

今回は、このように最初から攻撃的な保護者への対応について書いていきます。

「怒りは悲しみの裏返し」からスタートしてみる

大抵、人間の怒りの根底には悲しみがあります。まずは、この認識を持つことから始めます。次に、どのような言動をとるかです。

年齢や性別、経験年数など特定の箇所を攻撃されていない限りは、最初から攻撃的な保護者への対応は、年齢や性別、経験年数関係なくできます。

以下に、考えられる怒りの背景と対応方法を整理していきます。

保護者は「分かってもらいたい」

最初から攻撃的な保護者は、「今年こそは分かってくれますよね!昨年度までは分かってくれなかった!」という怒り、悲しみを抱いていることが多いように思います。

それも複数回、悲しい思いをしてきていることが多いです。その場合、「どうせ、今回も同じだろう」という想いになっています。こうして、攻撃的な言動で接してくるのです。

初対面の先生から見れば、「そんなこと言われても」となるかもしれません。そのような時でも、人間関係を築くために、縦のラインを意識してみると良いと思います。

過去にどのような経験をしたから今がある。

また、今がこうだから(今はこうだけど)、将来はこうなってほしい。

という「なぜ」と「どのように」の視点を持つことです。これは、児童生徒への教育についても言えます。

ただ、このような保護者との関係構築には「なぜ」の見極めができることが望ましいです。

これまで分かってもらえなかった、やりたいようにできなかったという怒り、悲しみを把握し理解する。つまり、保護者の心情に寄り添い、共感することが肝となります。

難しい言葉はいりません。「お辛かった(お辛い)ですね」、「私にできることがあるかもしれませんので、考えさせてください」と言うだけでも状況は変わってきます。

教師集団も縦ラインで見る

保護者の怒りの根底を過去から探る場合、前学年、1学年の場合は前校種との連携が必要になってきます。

児童生徒や保護者との関わりをより円滑に進めるためには、当該学年で完結しないという意識を持つと良いでしょう。

送り出した側の学年団(新年度はばらけていることもありますが)は、「いつでも相談に来てください」の気持ちを新学年団に対して示す。

新学年団は、「分からないことがあると思うので、その時は教えてください」の気持ちを前学年団、前校種に対して持つとうまくいくと思います。

「もう進級(卒業)したから、知らないよ」、「昨年度の学年はしっかり指導していないし、信用できない」という態度だと、行き詰まった際にうまくいきません。個別の教育支援計画、移行支援計画等の作成・活用が定着した今、長期的なスパンで、教育を見ることは必須だと思います。

教育は学校教育と家庭教育が両輪となって効果が増すので、保護者支援、少なくとも保護者の心情をくみ取り共感する姿勢は教師として持った方が良いと、私は考えます。

「分かります」という心情をありのまま示す

前述しましたが、相手の気持ちに共感するのに、教師の年齢や性別はさほど関係ないと思います。確かに、多くの修羅場をくぐってきた方が対応のバリエーションも多いと言えます。

しかし、経験は時に慢心を生みます。余裕のある対応が、かえって相手を傷つけることさえあります。よって、経験等に関わらず、相手の怒り、悲しみに寄り添うという気持ちを持つことが大前提となります。そこに、年齢(経験)、性別はさほど関係しませんね。

かつて私が教師だった頃、私の勤務校に気難しい保護者がいらっしゃいました。毎年、初対面で担任にダメ出しをされる方です。噂は、学校中に広まり、誰も近付こうとしません。担任ですら、もう、割り切って、「はい。そうですか」という対応になっていました。

このような対応は、意図的かつ悪質なクレーマーに対しては必要だと思います。ただ、この保護者の場合、言葉にとげがありはしますが、言葉の端々に「こうしてほしい」という願いが込められているのです。

私は、その学年ではなく、客観的に見聞きできる立場だったので、このように冷静に見ることができていただけで、担任にとってみれば大変なことだったとは思います。しかも、担任は、他の保護者と対応に差を付けることはありませんでしたので、素晴らしいと思います。学年団の協力もありました。

ただ一点、「はい。そうですか」という対応が、その保護者の攻撃性を維持させていたように思います。

年度が代わり、担任は20代前半の女性の先生になりました(A先生とします)。皆が戦々恐々となりました。「教師が嫌になて辞めるのではないか」と。

しかし、A先生は、4月の保護者会でいきなり風向きを変えたのです。学年の保護者会終了後、廊下で鳴き声が・・・。見れば、その保護者とA先生の姿。

「やばい!いきなり、泣かされたか!」と皆が思いました。

しかし、・・・

泣いているのは保護者でした。

そして、傍らで「お母さん分かります。辛かったですね」となだめるA先生の姿がありました。

後で、職員室で確認したのですが、その保護者の怒りの根底に「先生たちは娘の性格を否定的に見る」という悲しみがあることを見抜いたそうです。そして、娘の辛さを背負っている保護者の気持ちに寄り添ったのです。

確かに、「私は○○さんを、否定しません」と覚悟を表明することも大事です。ただ、このようなケースでは、保護者は全教師への不信感で固められているので、方法論を語るよりも、心情に寄り添う方が有効だと思います。

話すよりも聴くこと

共感の姿勢を示す場合、その前に必須事項があります。それは、「聴く」ことです。とことん聴きましょう。教師はある意味「話す」仕事ですので、困っている保護者にも親切心から助言しがちです。悪いことではありません。

しかし、怒り、悲しみを背負っている保護者は、聞く耳を持っていないことが多いです。とにかく、怒りをぶちまけたい。そのくらい追い詰められているのです。その時に必要なのは、まずは聴くことだと思います。

話すのはその後で大丈夫です。「なぜ」を見極め、「共感」する。そして、保護者との心理的な距離が縮まったら、先生方の指導方針等を具体的に説明すると良いと思います。

最後になりますが、難しい保護者への対応は、複数であたることも有効です。一度に複数で接するだけではなく、同じ日に代わる代わる、いろいろな教員が対応に当たることも有効だと思います。

先生方を守るという意味では、保護者の負の感情を一人の先生が受け過ぎないことが重要になります。

児童生徒も保護者も教師も、少しでも安心して過ごせる学校になるように願っています。

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