こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。

「うつ」病になる要因の一つとして、「過去」との付き合い方が挙げられます。私たちは誰もが、過去を経て今があります。そして、未来がある。これは、共通します。

しかし、過去の辛い体験をどのように解釈するか、そもそも覚えているのかという点は個々人によって異なります。

では、どのように過去と付き合うと「うつ」になる危険性が高まるのか。逆に言えば、どのように「過去」と付き合えば「うつ」と距離をおくことができるのか。今回は、これらの点を中心に述べていきます。

「過去」は変えられないが、記憶は「変わる」ことはある

よく、「過去と他人は変えられない」と言われます。確かにそうです。ただ、過去に関する記憶が「変わってしまう」ことはあります。その場合、過去の出来事にセットの感情が、ポイントになります。

基本的には変えられない「過去」に執着するのはマイナスですが、「感情」という点をうまく活用するとプラスに転換できるのです。

「うつ」に関して、「過去」がどのように関わってくるか、またどのように「過去」を利用すればよいのかについて、以下に整理していきたいと思います。

過去の出来事に対する感情の分岐点

過去に起きた「出来事」は変えられませんし、変わりません。教師として「行事運営」で何らかの失敗をした場合、「滞りなく終えることができた」と変更することはできませんね。事実は変えられません。

そして、この「失敗」という過去の事実に執着すると・・・

「なんで、自分はうまくできなかったんだ」、「他の教師がしっかりやってくれれば、うまくいっていたのに」、「あの行事を自分に担当させた管理職が悪い」・・・などと考えてしまうことになりかねません。

ただ、この後に生じる心情で、出来事への解釈も決まってきます。大きく2つに分かれると思います。ここが分岐点です。

(1)前向きな心情

「この経験を糧に、次年度同じ行事を担当したら良いものを作る」という心情ですね。いわゆるプラス思考です。「うつ」とは遠い位置にいることになります。前に挙げた感情を経ずに、残念な出来事の後すぐに、このような心情になる人もいます。

(2)後ろ向きな心情

「結局、自分はダメなんだ」、「何をやってもうまくいかない」、「どうせ、もう何やっても無駄だ」という心情です。この前の心情を引きずって自己否定に入っています。いわゆるマイナス思考です。

過去の出来事に対するマイナス思考・自己否定が続くと「うつ」の危険性が高まる

後ろ向きな心情から自己否定になり、その状態が続くと「うつ」になる危険性が高まります。人から「お前はダメな奴だな」と毎日言われ続けることを想像してみてください・・・

精神的に参りますよね。

自己否定をするということは、あえて自分で自分を責めて罰していることになります。たとえて言うなら、みずみずしいリンゴの苗木の根っこが、自ら毒を吸い続ける状態です。リンゴの実はなりませんね。それ以前に、木が腐ってしまうことでしょう。

人間の話に戻します。自己否定は、皆さんの可能性ある未来を制限し、破壊する恐れがあります。日常生活をこれまで通り送ることができなくなる恐れがあるのです。

それが「うつ」です。

自己否定を続けると、ある時、ある場所で、あることがきっかけになり、張りつめていたものが切れる瞬間があります。ジワリとくることもあれば、突然、本当に「ぶちっ」という感覚のこともあります。

怒りが悲しみになり、自罰がひどくなり、無気力になっていく。身体的にも朝、起き上がるのが辛くなり、本当に起き上がれなくなることもあります。

自己否定・・・

これは、本当に恐ろしいです。

年に数回、突発的に自己否定をし、その場で鎮まるものは悪くはありません。とにかく継続する自己否定を避けるようにしましょう。

要は、「過去」への執着を意識的に辞めることが重要になってきます。

「過去」の出来事が「変わる」とは?

私たちの記憶は曖昧です。よって、同じ出来事を経験していても、全く違う記憶の内容を再生してしまう人たちがいます。
例えば、20数年ぶりに小学校の同窓会で同級生と思い出話に花を咲かせている場面にて・・・(※フィクションです)

「運動会でクラスが優勝して、終了後の会で先生に全員が称えられたこと」の話題で盛り上がってるとします。Aさん、Bさん、Cさんの話は下記の通りです。

Aさん・・・「私は、褒められたのが嬉しくて、確かこっそり泣いたもの」

Bさん・・・「えっ、そうだっけ?泣いたのは、Aではなくて、D先生だろ。あのD先生が泣くなんて『鬼の目にも涙』だよ
な!」

Cさん・・・「あのさ。そもそも、運動会で優勝したっけ?」

これら3名の認識が異なっているのは、その時の感情が関係しています。

ちなみに、Aさんは泣いていませんし、先生も泣いていません。

3名は当時、どのような感情を抱いたのでしょうか?

(1)Aさんの場合
・それまで集団行動で足を引っ張っていたことが多かった。
・そのような中、クラスで団結して勝ち取った優勝が嬉しくて仕方なかった
・そして、それを褒められたことでさらに「快」の感情が高まった

(2)Bさんの場合
・やんちゃだったBさんは、D先生に注意されることが多く、恐ろしい存在として認識していた。
・そのD先生が、笑顔で心から自分たちを褒めて、本当に嬉しそうにしている様子を見て、強い驚きの感情を抱いた
・日常の強面の先生と運動会で褒める先生とのギャップが忘れられない。

(3)Cさんの場合
・この学年以前にも、毎年運動会では優勝してきた。
・優勝することに慣れており、この年の優勝に対して特別な感情は抱かなかった。

Aさん、Bさん、Cさんそれぞれが、「運動会で優勝した」という事実、「先生に褒められた」という事実から、少々記憶違いを起こしていることが分かります。

これは、その時の感情が関係しています。そして、特にAさんは、今後もこの記憶は内容がずれつつも、「嬉しい記憶」として強化されていく可能性が大きいです。また、Bさんも、「あの怖かったD先生が号泣したんだよ!」というようにずれつつ、強化されていく可能性が高いです。

そのくらい、感情の作用というのは大きいのです。

より良く「変わる」過去を思い出す

前出のAさんのように、嬉しい記憶というのは、それが記憶違いの面はあろうとも、人生に良い意味付けを行います。それは、過去に執着し囚われているというのではなく、過去の経験を人生の「糧」としているということです。

例えば、以下のような状況・・・(フィクションです)
【家庭の都合で、新聞奨学生として大学4年間、歯を食いしばって学業に励んだ。そして、教員採用試験に合格して念願の教師に!】

その過程で味わった「辛さを乗り越えた喜び」の感情というのは、経験した人にしか分からないほど鮮明かつ強烈かつ、美しいものではないでしょうか。そして、年を経るごとに実際よりも、その乗り越えた状況と感情は自分の都合の良いようにプラスに変化していく。

そして、その感情は、教師になってからの壁を乗り越えていく「糧」となることでしょう。対生徒、対同僚、対保護者でうまくいかずマイナスの感情が沸き起こり自信を失いそうになった時に思い出すことで、冷静さを取り戻し、「自分はやれる。大丈夫だ」と踏みとどまり、精神的な健康を保つことにもつながると思います。

快の感情を伴った記憶のより良い変化は、活用しない手はありません。苦しい時の「伝家の宝刀」として取っておくと良いでしょう!

まとめ

「過去を振り返るな」は大原則です。

しかし、その記憶の内容によって取り扱い方は異なる、ということを知っておくと便利ですよ。過去に執着すると「うつ」の危険性も高まります。一方で、過去をうまく活用すると、困難を乗り越える糧となります。

(1)過去は変えられません。よって、今を生きること!

(2)過去を「糧」にして苦境を乗り切るのは、アリです!

コーチング・カウンセリングでは、過去との付き合い方についても、詳細に提示していきます
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