皆さん、こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。

最近、立て続けに、いじめにより自殺に追い込まれた中高生の遺族の悲痛な叫びを目にしました。子どもを理不尽に失った上に、第三者委員会の対応にも傷つけられていらっしゃいました。

先生方の中にも、自ら命を絶った方がいらっしゃいます。また、うつ病等の精神疾患等で休職に追い詰められている先生方も数千人いらっしゃいます。「数千人」規模だから問題なのではありません。その先生方お一人お一人に固有の人生があるから重いのです。

子どものいじめと同様に、教師の精神疾患等への対応も機械的・無機質な内容であることが多く、当事者の先生方や御家族、心ある同僚は地団駄を踏む思いをしています。

今回は、「働き方改革」が進む中、うつ病等で休職されている先生方個々人に向き合った対応が不足している現状を取り上げ、課題と改善点をまとめます。

復帰する職場は安心できる場所かどうか

最も問題なのは、うつ病になった要因が職場に残っているということです。この状況が改善、除去されない限り、復帰はスムーズにいきません。また、復帰をしても本来の能力を発揮できないままか、うつ病を再発させてしまうことに繋がってしまいます。

復帰訓練が職場であるという辛さ

自治体によって多少の相違はあると思いますが、休職から復帰するための職場復帰訓練は段階的なプログラムに沿って行われます。プログラムが進み復帰が近づくと、勤務校での短時間の勤務から勤務時間を増やしていきます。そして、最終的には管理職や医師等が見守る中、授業を行う・・・・といった流れです。

ただ、うつ病になった原因が職場にあるとしたら、この制度は危険性をはらんでいるということことがお分かりになると思います。

・同僚によるいじめ
・管理職によるいじめ
・児童生徒からの嫌がらせ
・保護者からの嫌がらせ

当事者と会うこと以前に、その「脅威」が存在すると思うだけで、腹痛、頭痛、震え、吐き気、倦怠感などの身体症状も生じます。そして、精神的にも追い込まれるのです。

復帰訓練に至るまでも多くの葛藤を越えて、さらに復帰訓練に臨むという時には更なる葛藤をしているのが、多くの休職者の現実です。

この現実を、休職者本人の問題として、放置していることが大きな問題です。

例を挙げます。

以前、大きな落とし穴に落ちた場所があり、その場所が残っている。そうしたら、次からはその場所を避けますよね。自分の脅威となる場所が分かっているのなら、そこは避ける。そうして安全を確保していくわけです。復帰訓練も敢えて「脅威の場所で」する必要はないと、私は考えます。

それでも、復帰訓練は勤務校で行われます。その背景には、復帰後、新年度のことがあるからなのです。

避けられる病気休職者の人事異動異動

勤務校での復帰訓練、復帰に加えて辛いことは、新年度の異動が基本的にはできないという現実です。脅威が残る現場で、新年度を迎えて「心機一転」できる方は良いと思いますが、現実はうまくいかないことが多いです。

復帰後、「年度途中での退職」、「新年度を迎えたが、実力が発揮できない精神状態のまま過ごす」ということが多く見られます。

なぜ、異動できないのか。それは、「本当に通常通り勤務できるか」という無言のテストが続いているからです。また、受け入れ先も「うつ病による休職経験有り」という点がひっかかり、受け入れたくないのでしょう。

これが現実です。全て、うつになった本人、休職した本人の責任として考えられているのです。

その証拠に、うつに追い込んだ要因(教師、管理職、保護者、児童生徒)が目に見えた処分を受けることがほとんどないのです。はっきりとした証拠があるにも関わらず、グレーゾーンとして放置される。教師の場合、聞き取り調査のみということすらあります。児童生徒の場合、「若気の至り」で済まされる。

子どもたちのいじめと同様に、教師いじめ等に関しても、最後はごまかされる。「どうせなくならない」、「本人にも問題がある。弱い」などという心無い陰口が飛び交います。そして、このSNS全盛期、でっちあげられねつ造された事柄が拡散していく恐れもあります。

これは、初期対応のまずさが関係しています。毅然とした態度で、被害者を守るという姿勢がなければ、事態はあらぬ方向に動きます。その結果、精神的に追い詰められた先生方は復帰しても、しばらくして退職を選ぶ場合すらあるのです。

適材適所を本気で考えれば変わる

プロ野球選手やサッカー選手が、別チームに移籍した途端に大活躍するケースがあります。前のチームでは、出場機会に恵まれず、コーチ陣やチームメイトとの折り合いが悪かったのが、それらの状況が改善されたことも大きな要因なのでしょう。

教師も同じではないでしょうか。例えば、大人しく黙々と仕事に励む先生が、嫉妬型のいじめの標的になり、うつ病になった。その加害者は異動を拒んでいる。そして、管理職もそれを認める。このように、脅威を取り除かないのであれば、被害者の先生への配慮として、本人の力が発揮できる校種、学校を真摯に探すことが必要だと思うのです。

このケースであれば、児童生徒とはうまくやっているわけです。それも平均以上の成果を上げている。教科指導も、領域の指導も他の教員の模範となっている。保護者からの信頼もある。このような一人の教師が理不尽に潰されていく現状。

このような実態をこれ以上、見過ごすわけにはいかないと思うのです。「働き方改革」という言葉を今後も使い続けるのであれば、このような事態をなくすことこそが「改革」だと、私は思います。その結果が、「教師不足」問題解消にもつながるのではないでしょうか。

教師一人一人の能力を適切に評価し、心身の疲労を的確に把握し、適材適所で「人財」として育てていく。当然、トライ&エラーを繰り返しながらの人材育成になると思いますが、「大切にされている」と実感できる教育行政のもとでは、先生方は適度な「ストレス」も味方にして、自己実現していくのではないでしょうか。

ストレスが問題なのは、その「内容」、「かかり方」、「かけ方」です。その問題となる根源が職場にあるのであれば、まずはそこと向き合って対応していく学校現場、行政であってほしいと、私は切に願います。

管理職の先生方、行政の指導主事の方々、皆さんは現場を御存じです。だからこそ、「現場を知らないが、決定権のある」方々と意見を交わしてほしいのです。そして、真の「働き方改革」を断行してください!

真の働き方改革とは、シンプルに表すと「安心して働ける職場作り」に他ならないと、私は考えています。

まとめ

休職者の復帰に関する提案をしましたが、これは言い続けることが重要です。私も伝え続けますが、当事者である復帰に臨まれている先生方、ぜひ、心の声を表現してください。「〇〇(学校名)であれば、しっかり勤務できます。異動させてください」と管理職に伝えましょう。

そもそも、理不尽な圧力で休職に追い込まれた場合、被害者です。それにも関わらず、葛藤し、闘い、辛い思いをして復帰まで来たのです。そこで自分の気持ちを表現することに、何のためらいもいらないと思います。

心から応援しています。

休職で辛い思いをしている先生、職場復帰で苦しみ、復帰したくてもできない先生、これからの見通しを持つために御活用ください

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