皆さんこんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。
目標を達成するために逆算して、綿密な計算をして児童生徒を指導していく。
とても大切なことだと思います。これができれば、現在地が分かりますし、これからやるべきことも分かる。
しかし、不測の事態等で、予定が狂うこともあります。
そのような時に、「ああどうしよう。このままでは、目標が達成できない」と焦ることもあれば、絶望感に苛まれることもあることでしょう。
今回は、そのような状態に陥らずに、穏やかな気持ちで粛々と実践に取り組んでいくための方法について述べていきます。
一本の線でつながなくても良い
現状から、目標まで一本の道が走っていて、ところどころにやるべきことが書かれた紙が置かれている。
この光景、すごいですよね。壮観です。ただ、途中で、突発的な問題が起きた時、進む選択肢が取れなくなった時に困ってしまいます。
そのような心理的負担を感じないために必要なのは、狭い範囲を照らしながら、それでも着実に目の前の課題をクリアしていくイメージではないでしょうか。
例えて言えば、闇を照らす車のヘッドライトのイメージです。
車のヘッドライトを例に、先生方の目標達成までの一つのイメージを御紹介していきます。
車のヘッドライトが照らす範囲は、意外と狭い
夜道を走る車の車内を想像してみてください。
ヘッドライトが照らす範囲は、意外と狭いと思いませんか?
それでも、目的地まで行くことができます。
特に運転をされるかたは、イメージしやすいかもしれませんが、とにかく照らされた範囲を見ながら、ハンドルを切っていくと思います。
どちらの方向に進むかは、頭の中に入っている目的地が決めます。
道路工事で通行止めなどがあれば、迂回するでしょうし、家族が「トイレに行きたい」と言えば、引き返してでも、最寄りのコンビニなどに車を走らせることでしょう。
そして、そこから、目的地を再度目指しますね。
戻ろうが、いつもの道だろうが、初めての道だろうが、ヘッドライトが照らす範囲に意識を集中して運転すると思います。
それで事足ります。
ヘッドライトが照らす範囲は狭くとも、目の前の危険を回避し、進むべき方向を捉えることができる。
しかし、とにかく先の様子を知りたい、把握したいと思い、ハイビームを多用してしまうとトラブルのもととなります。そもそも、ハイビームが必要になることはそうそうはないのです。
これもまた、教師としての活動に当てはまるように思います。
思い通りにいかなくて当たり前
学級目標を掲げ、また進路目標を掲げて指導していても、多様な児童生徒がいる学級。
思い通りに進むことなどありえません。
大人ですら、気分によって考えは変わりますし、思考は行動にも影響を及ぼしてしまいます。
まして、小中、高校生です。不安も大きく、それらを言葉にできないことも多い。
その点を考えれば、一定の期間で集中して指導する事項を判断して決めて、実践していくことがベターであるように思います。
もちろん、最終目標は決めておくことが良いですね(※これとて、絶対ではありません)。
ただ、進路目標をA大学と決めて、ぎちぎちにゴールまでの指導を決めてしまうと、生徒(B)が「やっぱり推薦は止めます」と言ってきた時には・・・
「何を言ってるの?これまで、何人の先生があなたのために面接指導の時間を費やしたと思っているの!」などと、叱責してしまうという恐れがあるのです。
こうなってしまうと、生徒も「はあ?だったら、勝手にやりますよ!」とへそを曲げるかもしれません。
担任としては、生徒を応援する身。これまでのことは、「お礼を言う時期が早まっただけ」と考えれば良いのではないでしょうか。
そのように考える冷静さを保つためには、「BさんがA大学に推薦入試で合格することが目標。そのために、8月の夏休みに面接指導を5回、C先生と、D先生に。9月は副校長先生に・・・」と一本道でやるべきルートを敷くやり方だと難しいですね。
そうではなく、「BさんはA大学に合格することが目標。今は、推薦と言っている。では、推薦対策を今日作ろう。8月の面接対策は・・・。9月は・・・。」、「あっ、ちなみに、彼女は友人に流されている可能性もあるな。昨日Eに吹き込まれていたな。これは、揺れるかも。では、一般の計画も立てさせようか」・・・。
と、早い段階で、緩くで良いので「見える範囲(考え得る範囲)」のことを頭に入れておくと効果的だと思います。
そして、日々、推薦の準備を進めて、生徒の気持ちが変わったら、「ではどうする?」と本人が責任をもちやすい質問をしてみる。
そして、とり得る現実的な方法を考えて指導・支援していくと、生徒も教師も追い詰められる割合が減ります。
早い段階で、その時に見える範囲のことについて考えておくだけで心のゆとりが生まれていきます。
自分自身のキャリアについても同じ
例えば、42歳で管理職試験を受けて・・・と目標を決めて、35歳で教務主任になり・・・、そのためには32歳で・・・
と決めていたとします。
それでも、不測の事態は起きます。
理解のある校長が転勤し、新校長とそりが合わなくなり冷遇されたり、ある年度には自分が大病を患うかもしれません。
そのような時に、「目標までの道筋が狂った。どうすればいいんだ・・・」と落ち込む気持ちも分かります。
しかし、思い通りの人生を歩める人は、学生も社会人もほぼいないのではないでしょうか。
病気になっても、「今は休む時だ。働きすぎだったからな」と、今にフォーカスすればよいですよ。
そして、何より、管理職試験という目標を決める時点で、「校長次第で分掌主任はどうするか決めよう」、「45歳でもいいかな」、「今は研究部主任だから、今回の研究発表を成功させるのが大切だな」と考えて目の前の課題に取り組むことが、より大切だと思います。
今いる場所、見える場所で、やるべきこと、できることを積み重ねる。自分にもそのことを課し、児童生徒の「現在」を大切にしていく。
そうしていけば、比較的心穏やかに苦難も超えていけると思います。
ぜひ、参考にされてください。