こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。
夏が終わりましたが、今年もある言葉が気になりました。それは「美談」という言葉です。

この言葉は、高校生のスポーツ大会終了後に、皮肉を込めて「 」付きで用いられます。
「美談」に騙されるな、と。

今年度は、甲子園での金足農業と吉田選手がマスメディアのターゲットになりました。

今回は、「美談」を好んで使用する風潮に一石を投じたいと考えて書きました。

結果と結果を基にした「情報操作」と

そもそも、「美談」と話をまとめているのはメディアです。今回の金足農業の活躍、吉田選手の活躍については、秋田県民やその他一般の人々にとって、美談だろうがなかろうか、そのようなことは関係ありません。嬉しいから喜んでいる。感動したから涙を流す。いえ、感動という言葉では言い表せない複雑な思いがあるのかもしれません。

心が動かされたから、「ありがとうと言いたい!」、「子どもからお年寄りまで、こんなに秋田が盛り上がったのは初めてです!」という言葉が自然と出る。ただ、それだけのことのように思うのです。

そもそも全てを映し出していない

当然、金足農業が活躍するテレビを見ていない人もいれば、見ても何も思わない人もいます。それが当然です。それが自然です。よって、全員が「美談」に酔っているわけではないのです。

むしろ、見ていない、何も思わない人が多いのではないでしょうか。そのような状況で、「『美談』に騙されるな」、「高校野球の罪」などという言葉を躍らせるということに強い疑念を抱きます。

一部のみを映し出して、情報操作の「ダシ」に使う手法。そろそろ、やめませんか?それは、選手や指導者、保護者、応援している人々、自然に共感した人々に失礼だと思うのです。

「将来」っていつですか?

「『美談』に騙されるな」の文脈でほぼセットとなるのが、「大人のエゴで若者の『将来』を潰すな」という言葉です。
いつも疑問に思うのですが、この「将来」とはいつを指すのか、ということです。よくよく聞いていくと、おそらくプロになれるかどうかの直近数年後を指していることが分かります。

私はそこに大きな疑問を抱くのです。長い人生の中で「将来」とは、もっと先ではないか、と。プロになろうがなるまいが、壮年期、一線を退いてから、かつての仲間と語らう時。その時に、どのような表情で何を語れるかが重要ではないか、と。

教師として子どもたちに関わる時の想いも同じではないでしょうか。目先の進学も重要であることには間違いありませんが、長い人生の中で立ちはだかるであろう困難に打ち克つ力、工夫してやりくりする知恵を習得させたいと考えて教育にあたる。

それは、地味かつ地道な活動であるが故に、時に社会の誤解を生みます。そして、児童生徒からも反発を食らうことも。それでも、歩みを止めずに試行錯誤して教育にあたる。派手なことはない、ただ地道に。だからこそ、教育は尊いのだと思うのです。

そして、教え子たちは、卒業してから数年後、数十年後、「先生の言っていたことはこういう意味だったのか」、「先生に感謝だよ!」と気付くことが多いのではないでしょうか。

教師は恩を売る仕事ではない。夢を見る仕事であるように思います。その夢は相対的なものではなく、自分の中で描くもの。目の前の児童生徒の長期的なキャリア形成の一端を担うためにやるべきことをやる。それが尊いのだと考えます。

応援したくなるのは自然なこと

部活動等の大会、展覧会、演奏会等に顧問ではなくとも応援に行く先生方は多くいます。また、たとえ、一コマであっても担当した授業の生徒が受験に合格すれば涙し、また、不合格しても涙する。このような先生方の根本には、「応援したい」という気持ちがあると思うのです。

その自然と湧き出る感情を、「  」付きで「美談」とまとめ、ある方向に持っていこうとする情報操作に対抗して言いたいことがあります。

それは、【「『美談』に騙されるな」に騙されるな!】です。

先生方、何を言われても、児童生徒の応援団であることを自認し、地道に行きましょう!

組織内での非難

残念なことに、同じ組織内で、自分の感情を土足で踏みにじられている先生方もいます。たとえば、管理職の方針に背を向けている教職員が多数を占める組織内で、「子どもたちのため」と考えて方針通りに実践を積む先生。

「何、カッコつけてんだよ」、「管理職の犬か」、「子どものためとか言って、自分の点数稼ぎだろ」などという心無い
非難。教育公務員としての責任を果たさない者からの非難など、無視です。卑怯な人間はどの世界にもいます。

核心を見ない働き方改革の中、長期的な視点を持ち教育活動にあたる先生方が孤立しないように、同志を見つけて乗り切っていただきたいと思います。私も応援しています!

まとめ

「昨日、〇〇がサッカーの決勝で2点決めたんだよ!」、「昨日の合唱部のコーラスは涙が出た!」、「〇〇の2学期の学習態度は素晴らしいね。受験まで共に進みたいな」・・・などという、児童生徒への応援メッセージがあふれる職場は素敵だと思います。

それを「美談」、「綺麗事」と切り捨てる社会にならないように願うばかりです。

子どもたちの頑張りをあるがまま認めることに、何ら後ろめたいことなどないのですから。教師は教え導く立場であると同時に、子どもたちの大応援団の一人なのです。
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