こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。夏休み真っ盛りですね。というより、正確には、「児童、生徒は夏休み」ですね。この認識が世間にないことも、ある誤解の一因のように思います。その誤解とは、「教師は世間知らず」という暴論です。今回は、先生方の名誉を守るために書きます。
目次
教師を「世間知らず」と断じるおかしさ
そもそも、世間知らずとは何を指すのでしょうか?会社員は世間を知っているのでしょうか?プロスポーツ選手は世間を知ってるのでしょうか?個人事業主は世間を知っているのでしょうか?どの職種も同じではないでしょうか。
自身が就いた職業の中で与えられた職責を果たすことに一所懸命になる。また、専門性を高めて社会貢献する。また、当然、自身の生計を立てていく。そこに、職業の貴賤などありません。
このブログで教師を「世間知らず」と断じることのおかしさを論じることにより、日々真面目に職責を果たし、子どもたちの未来を輝かせる先生方を元気付けることになれば幸いです。
「教師」と一括りにする時点で論外
一人の教師が不祥事を起こせば、「だから教師はだめなんだ」、「世間を知らないから、こんなバカなことをするんだ」との声。
どの職種にも、不祥事を起こす者はいますが・・・。それで、その職種の人を一括りにしてなじりますか?非難しますか。しないのではないでしょうか。少し考えれば、その滑稽さが分かるはずですが。不祥事を起こしたのは個人であり集団ではない(命令を受けたり、組織の中の圧力を受けた場合は別)。
公務員叩き
教師だけではなく、各自治体職員、警察官、官僚などの公務員は、特に一括りにされやすいように感じます。「また、〇〇(職種名)の不祥事!」、「呆れた〇〇(職種名)」などです。
その「また」と「呆れた」を主張したいのであれば、他の職種と比較した上でのことでしょうか?違いますよね。「安定した地位」は糾弾され、一人が不祥事を起こせば「日頃楽をしているのに許せん!」と憤る人々。
安定はしていても、「どれだけ仕事をしても給料は決まったベース」、「正直者が馬鹿を見る」、「真面目にやるほど病気休職になりやすい」という負の側面に抗い、懸命に頑張っている人たちがほとんどですが・・・。
そもそも「世間知らず」とは何を指すのか?
そもそも「世間知らず」とはどのような状態なのでしょうか。たまたま出会った教師の挨拶の仕方がおかしいことを指すのでしょうか?銀行員の仕事を知らないことでしょうか?
それとも、バスの乗務員の経験がないことでしょうか?それとも、食品販売会社の社員の考え方を知らないことでしょうか?それとも、グラフィックデザイナーの仕事内容を知らないことでしょうか?
教師が社会人経験研修で、うまく動けないことを指すのでしょうか?夏休みを長くとることでしょうか?
職種に関わらず挨拶が苦手な人はいる
挨拶が苦手な人は、どの職種にもいます。声が小さかったり、目を合わせることが苦手だったり・・・。しかし、それだけで、その人を「世間知らず」と断じるのは行き過ぎではないでしょうか。
また、そのような人と遭遇したからといって、他の人も挨拶が苦手だと断じることもはなはだおかしいことです。また、その人はその日具合が悪かっただけかもしれません。後日会ったら、さわやかな挨拶が返ってくるかもしれないので。
どの職種の人も知らないことは多い
教師以外の職種の人も、銀行員でなければ銀行員の仕事は、ほとんど知りません。バスの乗務員以外でバスの乗務員の経験をしたことがある人も少ないでしょう。
また、食品販売会社経験がなければ、食品販売会社の社員の考え方を知る人も少ないでしょう。よく言われるのが、「教員は、会社員の苦労を知らない」、「教師の常識は世間の非常識」ということです。
では聞きますが、銀行員は、他の職種の苦労を知っているのでしょうか?教員の苦労を知っているのでしょうか?事細かく、他の職種の苦労を知っている人など、ほとんど存在しないのではないでしょうか。
そもそも、「属する組織以外の苦労を知らないから非常識だ、知識がないから非常識だ」と言うのは疑問です。限られた人生で知れることには限りがあります。その中で、まずやることは自身の仕事の知識技能を高めること、専門性を高めることです。そして社会貢献をして対価として給与をいただくわけです。
しかも、その職種の中でプロフェッショナルと言われる人は、表に出さなくとも、幅広い教養を身に付けるべく研究・修養に励んでおり、それらをひけらかすことはしないものです。
よって、外からは見えにくい。見えるレベルに達せずに皮相的に、「他の職種のことは知らないくせに。世間知らずが!」と言うのは、もう言葉も出ないくらい残念なことではないでしょうか。
社会体験研修への疑問
長期的、短期的に教員を企業等に派遣して社会体験を積ませる研修があります。有意義な研修であることは間違いないと思います。「教師は世間知らず」という言葉解消のためにも、このような研修は一役買っているのかもしれません。
ただし、疑問もあります。それは、教育関係の研修では不足という意味なのか、というものです。教育委員会主催・後援の研修以外にも、有志の先生方が手弁当で実施している研修会が多々あります。
そこでは、熱気にあふれた学びが展開されています。私は学生時代から、そのような研修会に参加させていただく中で、前述の疑問を大きく持っていました。
そのような中、大学時代、たった一人ですが、私と同じ疑問をお持ちの教授と出会うことができました。その方は、教師の歴史研究を御専門とされているJ先生でした。
J先生は、講義の中で、「メディアで、『先生方に企業研修をさせることで教師としての力量を高めよう』とする動きが盛んに報道されています」とおっしゃいました。
そして、その後、珍しく強い口調で、「しかし、教師の仕事というのは、企業研修に参加すれば高められる簡単なものではない。安易に、世間の声に流されるのではなく、子どもたちの姿、保護者の願いに応えるために必要なことを考えられる教師になってください。
そうすれば、企業研修ではなく、同僚との話し合い、教材研究、部活動、学校行事・・・教育活動全体を通じて教師の力量を高めていけます」と付け加えられました。
あれから、20年近く経ちますが、「ムード」に流されず、教職の尊さを教師を目指す学生に説かれたJ先生の姿は私の脳裏に焼き付いています。
まずは、職場の課題を把握して、やるべきことを各自が確実にやっていく。それを継続する。無理する必要はありません。ただし、「各自が」職責を果たす。ここに尽きるように思います。
夏休みは数日
「教師は世間知らず」の文脈で語られることの中で、かなりの割合を占めるのが「教師は夏休みが長いから、世間が働いている時に休んでいる」というものではないでしょうか。
まず、40日間程度の夏休みは児童生徒のものです。教師がとるのは夏季休暇で、自治体によって差異はありますが、5日程度です。これは、企業と何ら変わりはありません。この事実を知ることもなく、「教師は長い夏休みに遊んでいる」と糾弾する「ムード」・・・。
これは、かなり前から存在し、変わりませんね・・・。教育行政の上にいる方々、もう大々的に公言した方が良いと思うのですが。そうしなければ、あらぬ偏見はなくなりません。
年休は取りやすいが
夏季休業中に夏季休暇以上の休みをとる先生方は、授業期間中の振り替え休日や、年次休暇です。長期休業になって、ようやく過去の休日出勤の振り替えが取れるわけです。
しかし、部活動や補習を担当する先生方は、夏季休業中でも振り替え休日をとることができない方々もいらっしゃいます。これでも、「教師は世間知らず。遊んでいる」と言いますか?
研修参加
夏季休業中は各種研修会に参加して、教師の力量を高める先生方も多くいらっしゃいます。職場に出勤していなくとも、ほとんどの先生方はしっかりとやることをやっているのです。
ここで一点、個人的には課題だなと思うことがあります。それは、教育委員会主催・講演以外の研修会は、出張扱いにならず、また参加費や旅費も自腹となることです。
内容的には、現職の有志の先生方が手弁当で開催されている研修会の方が内容的にも濃い場合が多いのですが・・・。これは、教育行政側にいる方々が柔軟に対応してほしいところです。
教師も社会人である
以上見てきたように、教師も他の職種と同様に、与えられた職責を果たすべく日々働く社会人であり、職業人です。そのことを世間の皆様には分かっていただきたいと思います。
「世間知らず」というのは、明確な基準がなく、しかも教師を一括りにしたバッシングは、教師のやる気を削ぐものであり、それは間接的に子どもたちの未来にも悪影響を与えてしまうものです。
日々、子どものために職責を果たす先生方。バッシングはこれからも無くならないかもしれません。しかし、職務へのひたむきな姿勢というのは、御自身が最もよく分かっていらっしゃると思います。
私は外から、正しい理解啓発に励みます。先生方はどうぞ、雑音は気にせずに御自身の職務を全うするべく、日々の実践に取り組まれてください。応援しています。