こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。サッカーワールドカップのセネガル戦がいよいよ近付いてきました。私はサッカーには詳しくないのですが、見ているだけで熱くなってきます。それはW杯だからというわけではなく、選手の姿に、何かを背負って闘う気迫を見るからです。先生、あなたの近くにも、何かを背負って闘っている人がいるではありませんか。そうです、子どもたちです。子どもたちの言動にイラっとした時には、彼らの輝く姿を思い浮かべてはいかがでしょうか。

児童・生徒が輝く場面を見逃さず、指導に生かす

「子どもの言動にイライラするのはプロではない!」と言われます。正論です。一番良いのは、スキルとして叱ることでしょう。しかし、教師も人間です。時には、かなり頭にくることもあります。人として正しいことを示すためには、感情を出して自己の悲しみや違和感等を子どもたちに伝えた方が効果はあります。一人の人間として子どもと向き合うことは、やはり大事ですよね。

以下、初めに、イライラしてしまう状況を整理していきます。次に、子どもが熱中する授業、おしゃべり、遊び、部活動の中で子どもの輝く姿を見つけることで、子どもへのまなざしが変わることに関して述べます。

攻撃的な言葉はイラっとくる

数ある言動の中でも、攻撃的な言葉はかなりイラっとしますね。(攻撃的な表情での)「ばか」、「あほ」、「ボケ」、「かす」、「お前」、「うざい」、「超、めんどくせぇんだよ、お前は」、「てめぇ」、「消えろ」・・・。これらは、全て私自身が言われてイラっとした言葉です。皆さんいかがでしょうか。イラっとしない方もいらっしゃると思いますが、これらは、児童同士、生徒同士で言った場合にも指導することになるでしょう。よって、毅然と指導しましょう。ただ、留意点が複数あります。

表情を見ること

遊び半分の、からっとした笑いも入った表情であれば、教師側もふざけて「はぁ?」と言ってみたりすることも必要かもしれませんね。次に表情が攻撃的で興奮状態で言ってきた場合には、毅然と対応することが求められます。他の生徒も教師側の出方を見ています。ここで中途半端な対応をしてしまうと、真面目な生徒たちが教師に不信感を持つことに繋がりかねません。例えば、「先生は俺たちの時は注意するくせに、あいつらには注意しない」といった感じです。

小さな声でも指導はできる

指導となると、怒鳴るというイメージがあるかもしれません。怒鳴るまではいかなくとも大きな声で叱るという状況が思い浮かぶ方も多いことでしょう。ただ、大きな声を出さなくても、平常の声、いえ、むしろ平常よりも小さく低い声の方が迫力が出ることがあります。本気の大声で叱るのは、「伝家の宝刀」としてここぞという時のために残しておきましょう。いつも大きな声で叱ってしまうと、慣れが生じて、いざという時に効果がでなくなってしまいます。

「Iメッセージ」で感情を伝える

指導する際には、「私(先生)は、悲しい(嫌な気持ちになる、辛い、不愉快だ、、、やめてほしい)」など、「Iメッセージ」で感情を伝えるようにすると良いです。「あなたは、そんなこと言って何とも思わないの?」などと言っても、「思わねーよ」と毒づいてくる可能性が高いです。本当は「悪いなぁ」と思っていても、いくらでもごまかすことは可能です。そうすると、もう泥仕合になってしまいます。あくまでも、「私は傷ついた」のように、相手に悲しい想いをさせているということが響きやすいようにするためにも「Iメッセージ」がお勧めです。

非言語も有効である

ここまで、言葉での指導を述べてきましたが、実は非言語的な要素も指導の意味を持ちます。例えば、じっと見つめるだけでも、まだ未熟な面が残る子どもたちは、「うっ」となります。無言で見つめるのは、相手の土俵に乗らないようにする意味でも重要です。口だけなら子どもたちの方が達者な面はありますので・・・。

そして、踵を返して、他の生徒との関わりに移ることも指導の一つです。これは、「指導をしない」ことを意味しません。意図的に、「取り合わない」のです。そうすることで、攻撃的な発言をしている生徒は、自分の発言内容は場に合わない、言ってはいけないものだと気付きやすくなります。そこまでうまく気付けない場合は、さらに興奮して、「おいっ、逃げんのかよ!」と来るかもしれまん。そうしたら向き合って、「今のままでは話せないな。なぜだか考えてみて」などと、自分の頭で考えさせることにつなげていくと良いでしょう。

輝く場面は必ずある

子どもたちが輝く場面は、相対的なものと絶対的なものがあります。相対的な視点でのみ見ていると、攻撃的な態度をとってくる児童生徒の輝く場面が見つけにくくなるので、注意が必要です。相対的な視点で見つからなければ、絶対的な視点、つまり、その子ども自身がどの場面で輝いているのかを見れば良いのです。他者と比べる必要はありません。

人間には成功は約束されていないかもしれません。例えば、「インターハイ出場」を成功と定義している高校生がいたとします。しかし、インターハイの出場枠は個人種目も団体種目も限られています。よって、全国の「インターハイ出場を目指す」生徒たちが、出場こそが成功であると定義したら、必ず「失敗」する者が出てきます。しかし、成功よりも大事なことは「成長」ではないでしょうか。「自分が高校生活の部活動の中でどのように成長できたか」に着眼すれば、多くの成長が見つかるはずです。そして、それはその後の人生に生かしていける宝物となり得るのです。だからこそ、他者との比較ではなく、個人内の成長・輝く場面を見る視点が大事になってきます。

相対的な視点

相対的な視点で見ると、授業、部活動、委員会活動などを観察していれば、生徒一人一人の輝く場面は見付けやすいと思います。特に、小学生の場合は担任が複数科目を持つので、国語で実力を発揮できない児童が社会ではすごい、という輝きを見つけやすくなります。教科担任制の中高の場合は、他教科の教師との情報交換が大事になってきます。「〇〇は授業では、どうですか?」と日常的に聞くことができる職場風土作りが大事です。

部活動でも顧問外の部活の様子は分かりませんので、教員間での情報交換が必要です。なお、部活動を否定的に見ている方も、生徒の輝く場面を見付けるという視点で、見学等をしてみてはいかがでしょうか。授業中は積極的に参加できない生徒が、部活動では部員たちに指示を出していたりします。また、道具の片付けを積極的にやっていたり、後輩をなだめていたりします。

絶対的な視点(個人打を見る視点)

次に絶対的な視点では、記録をとることをお勧めします。授業内の特記事項で良いので、空き時間等に記録していくのです。そうすると、指名しても2カ月間全く答えなかった生徒が、初めて回答した際などは、かなり大きな成長として認識できます。また、挨拶しても無視をしていた生徒が初めて挨拶を返した日なども、感動とともに記憶に刻まれることでしょう。そうすると、「なぜ、今まで挨拶を返さなかったのか」、「何がきっかけで挨拶を返したのか」という視点が生まれます。前者の場合、中学校で教師不審になっており、高校入学後もしばらくはそれが続いていた、ということが分かるかもしれません。

教師が思っているよりも、児童・生徒が背負っているものは大きい

輝きを放つ場面が限られているということは、そうでない部分があるということです。そのこと自体が良い悪いということではありません。重要なことは、なぜできないのか、ということだと思います。前述の「挨拶」の例では、教師不審という辛い想いを背負っていました。また、「指名しても回答しない」背景には、過去笑われた辛い体験があるのかもしれません。児童・生徒一人一人が少なからず、辛い過去を背負っています。輝く場面を探すことで、背負っているものは何なのかという視点が生まれると、その後重点的に取り組むべきことが見えてくるかもしれません。

イライラしている場合ではない!

児童・生徒が輝く場面を見る過程で背負っているものが分かると、攻撃的な言動と結びつけることができるようになります。そうすると、より冷静になることにつながるので、相当のことでない限り、「怒る」ことはなくなります。「この子も辛いんだな」と、その児童・生徒が抱える悲しみを慮り、「少しずつ解決していこう」という姿勢が教師側に生まれてきます。そうして、児童・生徒の言動の表面を見て、イラっとしている場合ではなくなってくるのです。

まとめ

児童・生徒が攻撃的な言動を繰り返す際には、その背景を読むようにしましょう。そのためには、まず、輝く場面を見つける癖をつけること。そうすることで、彼らが背負っている辛い体験まで慮ることができるようになります。そうして、「イラっと」することすらなくなるかもしれません。

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