こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典。今回は、学校の「ブラック」についての3回目です。各論として、主に事務作業について述べます。

事務作業も含めて教師の職務である

教師の職務は授業だけではありません。高い授業力が必要なのは言うまでもありませんが、事務作業も教師の仕事の一つです。成績処理、行事計画書の作成、会議資料の作成、児童・生徒指導の記録作成等です。

教師が置かれた現状とその要因、対策について述べていきます。

事務作業量は平等ではない

事務作業は担任をしているかしていないかで大きく変わります。また、分掌主任であれば、教育委員会からの調査や起案文書の処理等、莫大な量の文書との格闘が待っています。

行事の単元責任者になると、自治体によっては数十ページに及ぶ計画書を作成しなければなりません。よって、自身の担当によって量も内容も大きく異なってくるのが当然です。

全てなくてはならない仕事ですので、量が多いから大変だとか、量が少ないからラッキーと考えるのではなく、それぞれ責任を持って職務を遂行することが求められます。

ただ、若いうちに、「自分は事務作業が得意だから教務部をやっていきたい」、「自分は事務作業が苦手だから生活指導部など、体を動かしておく方が良い」という意見を伝えることは良いことです。

得意分野を発揮することが学校としてもプラスになるからです。ただし、複数の分掌を経験した上で、そのような意見を伝えるのが組織人としてのマナーです。

なお、苦手な分掌も経験することで、その分掌の大変さが分かりますし、自分の新たな成長にもつながるのです。まずは、与えられた職務を実直にこなすことが公務員として求められます。

簡単に、「私はこれしかやりません!」、「私は〇〇は絶対に嫌です」というわがままは、一人が主張するだけで大きなバランスが崩れます。また、その被害を被る先生がいるのです。

特に成績処理に関しては、保護者との信頼関係に直結します。何度も見直してミスがないようにしなければなりません。そのためにも複数の教員でダブルチェックをするのがお勧めです。

莫大な調査が首を絞める

学校は多くの調査が課せられます。教育委員会や関係省庁のもの、大学生・大学院生からの調査の依頼等です。疑問に思うのは、年間に同じ調査項目のものを複数回実施することが多いということです。

調査を否定はしませんが、回数や項目数など工夫する余地があります。このような意見は、ほとんどの先生方が持っています。しかし、言っても仕方がないのでとりあえずやっているのが現状ではないでしょうか。

私から言わせれば、このような調査を課すのは、何か起きた時のアリバイ作りにしか思えません。「私たちは、しっかりと教職員の意識確認して、問題が起きないように調査を繰り返しましたよ」と。

現場の先生方からしてみたら大迷惑です。ただ、このようにならざるを得ないのは、社会の学校に対する風当たりの強さとも関係があるでしょう。

よって、教育委員会がこのように手を打つのは、確かに仕方がない面もあります。しかし、このような時間を無くしていかなければ長時間労働はなくなりません。微々たるものかもしれませんが、無くすべきことを無くして時間を創ること、これこそが求められている働き方改革のような気がしますが・・・。

これらの疑問を教育委員会に伝えられるのは管理職だけです。管理職の先生方、御自身の立場も分かりますが、現場を守る方が大事だと思うのですが、いかがでしょうか?

正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると毅然と言える管理職を、多くの教職員が待ち望んでいます。

IT化の影を見つめる

業務用パソコンの導入は、効率化を進めている面もありますが、事務作業を煩雑化、長時間化させている面もあるのです。まず、フリーズしたり、データ消失の恐れがあります。資料を作成して、安心して紙の関連資料を処分していた後にデータが消失したらどうなるでしょうか?

大変なことになりますね。また、罫線の位置や書式等にチェックが入れられて、作成し直しということもあります。何ということでしょうか・・・。

このあたりの検証も必要だと思います。また、大きな問題があります。学校の情報ネットワークを管理する担当になった先生の負担です。時間的、肉体的な負担のみではなく、渉外やサーバーの状況を気に掛けるといった精神的負担もあるのです。

これは、一教員に担ってもらうのではなく、事務担当や外部の業者に担ってもらうことを検討するのがベターです。自治体、管理職、事務長は予算の使い方をしっかりと考えていただきたい。

「やるべきこと」の見極め

やるべきことを見極める、言い換えれば、やらないことを決めることが、事務作業の長時間化を改善する対策です。成績処理などはやるべきことです。「例年やってきたから」というのが最もいけない。

また、会議記録は、資料があるのなら、それを綴じれば良い。また、細かい罫線等にチェックをいれて書き直させるのをやめる。調査の数を減らす。

また、調査を受けるのは、全員ではなく、毎回人数を決めて実施する(その時期に抱えている事務作業が少ない教師のみ等)。

これって「ブラック」?

教務部など時間割に関することを統括する分掌の担当者は、3月、4月は深夜まで残ることが多いです。それが、何週間も続くこともあります。本当に大変です。

しかし、これはやるべき仕事です。誰かがやらねばならない。そうであるならば、「その担当の先生の年休を、朝とりやすくする」、「その期間の部活動は他の顧問で担当する」などの配慮を忘れないようにしなければなりません。

そして、何より大事なのは、その仕事を担ってくれることへの感謝の気持ちを持ち、言葉で伝えること。それが大事です。

時間割担当者だけではなく、行事責任者は行事前は深夜まで残ることが続くし、担任は学期末は成績処理で深夜になることもあります。そして、突発的な生徒指導案件が起きれば、当該学年教師は遅くまで話し合い、記録をまとめるでしょう。

いろいろな場面で、いろいろな教師が深夜まで事務作業に追われることになる可能性があるのです。これらは学校運営上なくてはならないものであり、協力体制や気遣いがあれば精神的に追い詰められることは、ほぼありません。

精神的に追い詰められるのは、「何のためにやるのか分からない」ことをやる時と、無理矢理やらされる時ですね。自分たちの仕事が組織の役に立ち、児童生徒に必要なことであれば、教師は苦痛は感じないのではないことが多いですね。

以上より、事務作業において、やるべきことをやるべき人間がやっている場合、「ブラック」とは言わないのではないと、私は考えます。何でもかんでも「ブラック」という風潮は、学校の必要な文化をも廃れさせかねないゆゆしき問題ではないでしょうか。