こんにちは。先生のための働き方コーチ・平田洋典です。教師にとって不可欠な視点。前回は「なぜ」について述べました。今回は、「なぜ」と並ぶ重要な視点「どうするか」について述べていきます。

「どうするか」は、答えのない教育という営みに不可欠な視点

「どうするか」は行き詰まった時に力を発揮する視点です。教育は100%正しい回答の存在しない営み。それでも妥協せずに取り組むところに子どもたちの未来と、関わる人々の感動があります。指導がうまく行かない時、面倒くさがらずに、専門家として「どうするか」の視点を持つことで、状況は変わっていきます。

指導がうまくいかなければ方法を変える

幼児、児童、生徒は絶えず変化しています。一日単位、いいえ、分単位でその心情に微妙な変化が表れています。よって、授業がうまくいかないことがあるのは当然です。プロ意識のある教師は、うまく行かないことを受け止めて、「どうするか」を考えていきます。ベクトルを自分に向けて、目の前の子どもたちの状況に応じて指導方法を変化させれば良いのです。

年度単位で見れば、大きな違いがあって当たり前

新年度になって初めてその学年を担当するのであれば、最初は授業が思うようにいかないのはある意味当然ですね。はたから見て成立していても、授業者としては違和感がある。このようなことは多々あることでしょう。子どもたちは、前年度の担当者と比較して「値踏み」をしていますので窺うような言動があることが要因だとも考えられます。そのような雰囲気はあって当たり前。どのようにして、自分色を出して子どもの学力を上げていくか考えていきましょう。

学期、月単位で見れば、行事前後に注意する

体育祭や修学旅行の前後は子どもたちが浮ついてしまうことがあります。それをどこまで大目に見るのかなど、教師の力量が試されるところです。このようなことは事前に予測できることですので、経験の深い同僚に指示を仰いでおくと良いでしょう。そうすると、実際に授業が乱れた際に「そうきましたか」とゆとりを持って迎えることができます。その上で、事前に準備していた対応策を出していくと、乱れた状態はいち早く収拾させることができるでしょう。

日単位で見れば、給食前や体育の後は要注意

給食前になると献立が気になって集中力が切れる場合があります。また、体育、特に水泳の後は眠くなる児童、生徒が続出ということも・・・。これらも事前に予想できることなので、「どうするか」という視点で対策を複数持っておくことが重要ですね。集団の雰囲気にもよりますが、水泳後の対策として、「最初に3分間寝る。起きて顔を洗って背伸び!そして、授業!」というルーティーン的に持っていくと、子どもたちが乗ってくる場合もあります。あくまでも、授業に集中させるための方法としていろいろと試すことが重要です。

人権侵害には迅速な「どうするか」が必要

いじめが起きた場合、「これまでは学級はうまく機能していたのにな。なぜだろう?」と考えるのは後です。まずは、被害生徒の安全確保のために、最善の「どうするか」を考える必要があります。その上で、教師の力を結集して原因究明に力を尽くすことが求められます。「なぜか」の答えは時間がかかることが多いです。それでも諦めずに究明しつつ、常に「どうするか」の視点を持たねばなりません。

学級の立て直し

被害者が学級に戻ることができたとしても、心の傷は簡単には癒えません。教師としてできることは何なのかを問い続けて、2度といじめが起こらないためにはどうすれば良いのかを考えていかねばなりません。いじめという悲しい出来事が起きた後、それを教訓にして、学級、学年、学校をより良くできるかどうかの分かれ道が教師の「どうするか」の姿勢です。その姿勢で児童、生徒に問い続けることで、子どもたちも自分たちは「どうするべきなのか」を考えて行動に移し始めます。

過去を変えることはできないが、乗り越えることはできる

過去に起きた出来事は変えることはできません。しかし、教師の「いじめは絶対に許さない」、「これからみんなでどうするべきか考えよう」という気概は、子どもたちに伝わります。そして、いじめという悲しい過去を全児童、生徒で乗り越えることはできるのではないでしょうか。これは、「いじめを忘れる」という意味ではありません。いじめという事実と向き合い、「2度と起こさない」という決意を持つことで人間的な成長を遂げ、「いじめを許さない・起こさないという」覚悟を持つことだと、私は考えます。

より良い状態へ

「どうするか」という視点は、現状をより良いものにしようという前向きな姿勢です。よって、必ず行動が伴います。現状を変えるには行動しかありません。周囲から何と言われようと、「どうするか」という視点、姿勢を持っている先生は成長し続けるし、子どもを正しい方向に導いていけると思います。

結局は、子どもたちを良くしようという思いで走り続けるのが教育だと思います。スピードの変化をつけつつ、時には休みつつ、走り続ける。その先に待っているのは、子どもたちの笑顔なのでしょう。

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